鉄筋工事とは、建築物の骨組みとなる鉄筋の加工や組み立てを行う工事で、建築物の強度に影響を与える重要な仕事です。
鉄筋工事に関する仕事に転職したいとお考えの方の中にも、仕事内容を詳しく知らないという方もいるのではないでしょうか？そこで今回は、鉄筋工事の基礎知識や、それに関連する資格についてご紹介します。
鉄筋工事の種類
まず、鉄筋工事には以下の２種類があります。
①鉄筋加工組立て工事
鉄筋加工組立て工事とは、鉄筋の配筋（配置すること）と、組み立てを行う工事です。図面の内容をもとにしながら鉄筋を曲げたり切断したりして、建築物の構造に対して適切に鉄筋を加工していきます。鉄筋の加工が完了したら、現場に資材を運搬し、施工図の内容を踏まえて実際に組み立てを行います。
②鉄筋継手工事
鉄筋継手工事とは、配筋された鉄筋同士を接合する工事で、次の３種類の方法で接合する点が特徴です。
・ガス圧接継手:鉄筋同士を突き合わせ、加熱・加圧を加えることにより、ふくらみを形成する接合方法
・溶接継手:鉄筋同士を突き合わせ、加熱した上で電気を加える接合方法
・機械式継手:鋼管（カプラーやスリーブ）を鉄筋の端部に被せ、スリーブのかみ合いを利用する接合方法
それぞれの接合方法によって接合手順が異なり、品質管理や検査の流れも変わります。
鉄筋工の年収・給与
鉄筋工（鉄筋工事に携わるスタッフ）の平均年収・給与は約４１０万円であり、日本全体の平均４３０万円よりは少し低いです。実務経験を積み、難しい案件に対応できる方や、鉄筋工事に関連する資格を取得している方は、年収が高い傾向にあります。
鉄筋工になるには？
鉄筋工になるための必要な資格や学歴は特にないため、希望の会社へ応募し、採用されれば鉄筋工になれます。就職や転職活動時に、鉄筋施工技能士や登録鉄筋基幹技能者などの資格を保有していると、面接官から評価されやすいでしょう。無資格であると、対応できる業務に制限があるため、仕事の幅を広げるためにも資格取得をおすすめします。
鉄筋工事に役立つ資格
これから説明する資格を保持していれば、対応できる業務範囲が広がり、年収が上がる傾向にあります。それぞれの資格について以下より解説しますので、鉄筋工事に携わりたい方は参考にしてみてください。
・鉄筋施工技能士
鉄筋施工技能士とは、鉄筋工事施工に関する知識や技術を認定する国家資格であり、１〜３級の資格に分類されている点が特徴です。１級は上級レベル、２級は中級レベル、３級は初級レベルの難易度であり、実技と学科の試験ともに65点以上（100点満点）正答すれば合格となります。鉄筋工事の現場には１級鉄筋施工技能士の配置が義務付けられているため、資格保有者は重宝されます。
・登録鉄筋基幹技能者
登録鉄筋基幹技能者とは、現場の鉄筋工をマネジメントし、施工管理や安全管理、また原価管理などの監督業務を行える資格です。資格を取得するためには２日間の講習を受けた上で、３日目の修了試験に合格しなければなりません。受験するためには、１級鉄鋼施工技能士の資格を取得し、鉄筋に関する１０年以上の現場施工経験などの条件を満たす必要があります。
・玉掛技能者
玉掛技能者とは、クレーンのフックに資材を掛けたり、外したりする玉掛け作業を行える国家資格です。資格を取得すれば、荷重１トン以上の揚貨装置やクレーン、デリック、移動式クレーンなどの玉掛け作業を行えるようになります。資格を取得するには、一般社団法人労働技能講習協会が実施している、玉掛け技能講習を受講し筆記と実技の修了試験に合格する必要があります。
・建築施工管理技士
建築施工管理技士とは、建築物の施工の工程管理や安全管理など、監督業務を行える国家資格です。資格は１級と２級に分かれており、資格ごとに対応できる業務領域が異なります。
鉄筋工に向いている人
・ものづくりが好き
鉄筋工の仕事は、鉄筋の加工や組み立てがメインであるため、ものづくりが好きな方に向いています。
・コミュニケーションを円滑に取れる
工事現場では、他のスタッフとやり取りしながら作業をする必要があるため、コミュニケーションを円滑に取れる方に向いている職業です。
・人々の生活を支えるインフラ整備に携わりたい
ものづくりが得意な方や、建設業を通して人々の生活のインフラ整備に携わりたい方は、鉄筋工を目指してみてはいかがでしょうか？
鉄筋工の将来性
建築物の工事が、今後なくなることはないと考えられるため、鉄筋工の仕事は需要が高い仕事と言えます。高度経済成長期に建てられた建築物の改修工事や、エネルギー関連施設の建設などが今後も行われるため、鉄筋工の需要は、今後さらに増えていく可能性があります。
まとめ
鉄筋工事とは、建築物の骨組みとなる鉄筋の配筋や組み立てを行う工事であり、建築物の強度や寿命に影響を与える重要な仕事です。鉄筋工になるためには、必要な学歴や資格はありませんが、資格を有していれば対応できる業務領域が広がるため、年収も高い傾向にあります。
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