空調設備は、屋内で快適に過ごすためには欠かせない設備のひとつですが、空調設備の工事には、さまざまな工程があるのをご存知でしょうか?
今回は、空調設備工事の仕事内容や、必要となる資格などについて解説します!
空調設備工事とは
空調設備工事とは、給気や排気など、換気するための設備を取り付けて使えるようにする工事です。
家庭用のエアコン工事を例に挙げると、エアコン本体となる室内機をまずは壁に設置し、さらに屋外に室外機を設置する工事のことで、室内機と室外機を繋ぐための管の敷設や、エアコンを動かすための電気工事もこれに含まれます。同じようなことを、大手商業施設などのショッピングセンターやスーパー、病院や学校などでも実施します。
ただし、これらの施設での設置は家庭用エアコンとは異なり、給排気の設備と空調本体、そして室外機の距離が離れているため、それぞれを指定の場所に設置することと、それぞれの機器を繋ぐ配管工事や電気工事などが必要となります。
これらの空調設備の設置では、機器を指定の場所に設置することよりも、機器を繋ぐ配管工事が空調設備工事のメインとなります。空気を流すのか、ガスを流すのかによって、使用する管は違います。さらに、管の接続部分から空気やガスが漏れ出さないよう、確実に接続していく必要があります。
また、既設の空調機器のメンテナンスも空調設備工事に含まれます。空調機器は、単純に空気を冷やしたり温めたりするのではなく、調湿や空気清浄機能なども持ち合わせているため、これらが正常に動作するよう調整したり、機器の汚れを除去したりするのも、空調設備工事に含まれます。
空調設備工事に必要な資格
⚫︎電気工事士
空調設備工事を施工する際には、必ず電気工事も実施します。しかし、コンセントの設置や電源に関する配線などを施工するためには「電気工事士」という国家資格を取得しなければなりません。
電気工事士には、第1種と第二時2種があり、一般家庭などの低圧屋内配線設備であれば第2種で大丈夫ですが、自家用電気工作物の設備工事には、第1種が必要です。規模が大きな施設での空調設備工事では、第1種電気工事士資格が必要となります。第2種電気工事士は特に受験資格はありませんが、第1種電気工事士は、免状取得までに最低でも3年以上の実務経験が必要です。
大学や短期大学、高等専門学校などで電気に関する指定課程を納めていない場合には、5年以上の実務経験がなければ免状の交付はされません。
⚫︎認定電気工事従事者
第2種電気工事士を取得し、さらに認定電気工事従事者講習を受講することにより、施工できる電気工事の幅が広がります。通常は、低圧屋内配線設備に限られる第2種電気工事士資格ですが、認定電気工事従事者講習を受講すれば、600V以下の自家用電気工作物の設備工事が可能となります。第2種電気工事士資格を取得したら、合わせて認定電気工事従事者講習を受けると良いでしょう。
⚫︎配管技能士
配管工事だけであれば、特に資格を取得していなくても業務に従事可能です。しかし、配管工事は空調設備のメインともいえる業務で、非常に重要度が高い工事です。
配管技能士資格は、配管に関する実践的な技能や知識を学べるので、資格取得を目指すのがおすすめです。
配管技能士は国家資格で、1級から3級までの3段階に分かれおり、「建築配管作業」と「プラント配管作業」に区分されていますので、空調設備工事に従事するなら、まずは3級建築配管作業の配管技能士を目指すと良いでしょう。
3級配管技能士資格は、誰でも受験可能ですが、2級以上になると、下位級の合格者または実務経験が必要です。3級取得後に技術を磨き、ステップアップしていくと良いです。試験は、学科と実技からなります。
⚫︎冷凍機械責任者
冷凍機械責任者は、高圧ガス製造保管責任者試験のひとつの分野で、国家資格となります。
この資格がなければ施工ができないという訳ではありませんが、空調設備工事を施工するにあたっては、資格保有者が責任者となり、都道府県知事に届け出なければなりません。また、空調設備は冷凍機械分野に該当するため、資格を取得しておくことにより、仕事の幅が広がりますし、重宝される存在となります。
冷凍機械責任者は、第1種から第3種まであります。
⚫︎管工事施工管理技士
配管工事を実施するにあたって、工程の計画や現場管理を担うのが、管工事施工管理技士です。
配管工にまつわる国家資格のひとつで、この資格を取得することにより、管理者として活躍することが可能となります。1級と2級がありますが、まずは一般建設業の管理者となれる、2級を目指すと良いでしょう。
室内で快適に過ごすためには欠かせない空調設備の設置や配管のメンテナンスなどを担うのが空調設備工事です。空調設備工事には、電気工事をはじめ、配管工事など、さまざまな技術力を必要とします。工事に必要な知識や技術の習得には、役立つ資格が数多くありますので、少しずつ取得を目指していくことをおすすめします。
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