建設現場は、休みが少ないことでも知られ、他業種に比べると長時間労働も多い傾向にあります。建設現場の休みが少ないのは、どのような理由があるのでしょうか?また建設業界では、休日を増やすための取り組みは行なわれているのでしょうか?そこで今回は、建設現場の労働時間と休日の実態を踏まえ、休みが少ない理由と週休2日制への取り組みについて解説していきたいと思います。
建設現場における労働時間と休日の実態
建設現場の労働時間と休日の実態を、データをもとに解説いたします。
●建設現場の休日は、多いの?少ないの?
国土交通省のデータによると、建設現場における休日の取得状況で最も多いパターンが「4週4休」です。つまり「週に1日しか休みがない」というのが建設現場では一般的で、週休2日制にあたる4週8休の現場は、全体の1割に満たない状況となっています。ただし、直近のデータを日本建設業連合会が掲載しており、それによると平成30年(2018年)における建設業の年間休日総数は、100~109日に次いでは120~129日の割合が多く、土日を閉場する現場の割合は24.3%です。このように、週休1日が当たり前だった建設現場においても、働き方改革は少しずつ進んでいます。
●建設現場の長時間労働の状況
前述の国土交通省のデータによると、建設業は年間300時間以上の長時間労働を行なっています。建設業の次に労働時間が長いとされる製造業と比較しても、建設業は約80時間も多い結果です。他業種と比べても、建設業の労働時間は約1.2倍も多いというデータがあります。いずれにせよ、建設現場は休日を増やし、長時間労働をいかに減らすかという課題を抱えています。
建設現場の休日増加における今後の取り組み
働き方改革が進む建設業界で、休日を増やすことにつながる取り組みを紹介いたします。
●週休2日制の定着
2017年12月、日本建設業連合会は、2021年末までに建設現場における週休2日制の導入を定着させる計画を立ち上げました。週休2日制の行動計画として、以下の内容を掲げています。
行動計画の基本方針
1. 週休二日を2021年度末までに定着させる
2. 建設サービスは週休二日で提供する
3. 週休二日は、土日閉所を原則とする
4. 日給月給の技能者の総収入を減らさない
5. 適正工期の設定を徹底する
6. 必要な経費は請負代金に反映させる
7. 生産性をより一層向上させる
8. 建設企業が覚悟を決めて一斉に取り組む
9. 企業ごとの行動計画を作り、フォローアップを行なう
上記の取り組みにおいて、重要なポイントのひとつは「5. 適正工期の設定を徹底する」です。休みを増やしても、工期にしわ寄せがないように、あらかじめ週休2日を盛り込んだ工期の設定を求めています。また、週休2日制を業界全体で実現するには、一斉に土日を閉場にすることも重要です。週休2日制の導入は、若年層の入職者を増やすきっかけにもなり得ます。若年層の技術者が建設業界に定着しない理由として「休みが取りづらい」とする意見もあり、改善すれば一定の成果があると考えられます。現在、建設業界の週休2日制は徐々に浸透し、今後建設業界を担う人材が増えることが期待されています。
●生産性の向上
生産性の向上は、長時間労働を減らして休日を増やすことにつながります。生産性の向上に向けた取り組みとして、ICT技術の積極的な活用が求められています。建設分野のICT技術は、ICT建機の施工や3次元測量、スマートデバイスなどが挙げられます。 ICT建機の遠隔操作によって、人が操作せずに施工を自動化できるほか、3次元測量ではドローンを用いることにより、大幅な作業の削減が期待されています。また、従来は紙の図面や写真撮影にはデジタルカメラを使用していましたが、近年ではタブレットを使用するケースが増えており、スマートデバイスは図面や資料の閲覧、テレビ電話による作業指示、社内外との情報共有など、さまざまな業務を効率化することが可能です。そして、国土交通省では「2025年度までにi-Constructionの2割向上」を目指し、建設プロセスを3次元データでつなぐ計画も予定しています。i-Constructionは、建設生産プロセスにICT技術を活用する取り組みのことです。また、3次元設計(BIM)による、3次元データのさらなる活用も推進するとしています。
建設現場の休みが少ない理由は、短納期・人手不足・人件費の増加などが挙げられます。特に、人手不足は深刻な問題で、週休2日制の導入やICT技術の活用による生産性の向上が期待されています。生産性が向上すれば、限られた人員と作業日だとしても、従来と同じ工事量の実現が可能です。こうした取り組みが進めば、建設業界の「休みが少ない」「仕事がきつい」というイメージは、過去のものとなる日も近いかもしれません。
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