左官工事ってどんな仕事?

左官工事とは、建物の床や壁などをコテを使って塗り仕上げる工法のことを言います。左官工事で使われる左官材料としては、かつては自然素材である漆喰や珪藻土などが一般的でしたが、最近ではモルタルやモールテックス、ジョリパッドなどの人工素材も多く使われています。

左官工事は、住宅の外壁や内壁の仕上げ工事というイメージがありますが、ビルやマンションなどの規模の大きい現場では、下地として左官工事が行われることが多く、面積が大きい場合はコテだけではなく、機械も併用して仕上げることもあります。また、左官工事は手仕事によるところが大きく、職人の技術がダイレクトに反映される工法でもありますが、クロスや塗装にはない風合いや質感が出せる左官工事は、今もなお、多くの人から支持され続けています。

左官の歴史

左官と聞くと「日本の伝統工法」というイメージがあるかもしれませんが、その歴史は世界中で確認されています。古くは、エジプトのピラミッドでは漆喰が使われており、その技術が周辺の国々へと伝わりギリシャのパルテノン神殿やローマのコロッセオでも使われたというから驚きです。それでは、日本ではいつ頃から左官が行われていたのでしょうか。
日本における左官の歴史は遥か昔、縄文時代に始まります。経文時代の竪穴式住居の壁である土壁が、左官の始まりと考えられているようです。さらに飛鳥時代には、すでに石灰を使用した白塗りの壁、つまり漆喰技術が生まれており、その後も左官は時代とともに発展してきました。日本の左官技術の代名詞とも言える漆喰は、時代とともに進化し現代もなお、様々な場所で使われています。

そもそもなぜこういった技術を「左官」と呼ぶのか、ここであらためて説明します。
左官という言葉の由来は諸説ありますが、最も代表的なものとして、昔の日本の階級の名残という説があります。遥か昔の日本の宮内省には、宮廷の建築に関する仕事を担う「木工寮(もくりょう)」という組織があり、その中の階級のひとつとして「属(そうかん)」と呼ばれる壁塗り職人がいて「属(そうかん)」が訛って「さかん」と呼ばれるようになったという説です。
その他には、宮廷に出入りが許される官職であったという説があります。宮廷の建物の壁を塗るためには、まずは宮廷に入らなければなりませんが、何かしらの官職に就いていないと入ることが許されなかったため「左官」という官職を与えたとのことです。

左官工事の種類

左官工事の現場は「町場」と呼ばれる、住宅や店舗などの小規模建築の工事と「野町場」と呼ばれる、マンションやビルなどの大規模工事に分かれているので、それぞれ解説します。

まず「町場」の左官工事としては、住宅の内壁や外壁、塀などの左官工事があります。
仕上げ工法の種類も多く、漆喰や珪藻土などの自然素材から、モルタルやコンクリートまで様々な左官材料があります。また住宅の土間や玄関、外構のアプローチなども左官工事で仕上げることがあります。床や玄関などの場合、モルタルやコンクリートで仕上げることが一般的で、コテだけではなく、時には機械の力も借りながら丁寧に仕上げていきます。

そして「野町場」の左官工事としては、ビルやマンションのエントランス、駐車場の床、倉庫の床などの床工事全般、そして内壁や外壁の下地工事などがあります。野町場の左官工事は規模が大きいので、最近では機械施工化が進んでおり、コテによる手仕事の部分は残しつつも、大部分は機械施工によって行われることが多いです。

左官工事の魅力

左官工事の魅力は、なんと言っても仕上げの質感にあります。左官工事はコテによる手仕事なので、職人の技術が、ダイレクトに仕上げに反映されます。コテの動かし方や力の入れ具合など少しの違いで、表面の質感は大きく変わります。

左官の下地工事では、均質で滑らかな仕上がりにすることが求められますが、住宅の内壁や外壁などの工事では、仕上がりの質感やパターン(模様)で、職人の個性を出すことができます。パターンの種類としては「ハケ引き」「くし引き」「おうぎ」などが広く使われていますが、職人自身の手により、オリジナルのパターンを生み出すことができるので、手仕事による創造性の高さも左官工事の醍醐味と言えます。

左官工事が向いている人

職人の腕が問われる左官工事ですが、意のままに手を動かし、イメージ通りに仕上げられるようになるまでには、相当な年月がかかります。

左官職人が一人前になるには、5年とも10年とも言われており、どこまでも技術を追求できる職種ですが、技術の向上には終わりがありません。左官職人として、左官工事が一通りできるようになることは可能ですが、その先のゴールは人それぞれということになります。

しかし左官工事は、塗装にはない質感を出すことができるという唯一無二の技術であり、大きなやりがいがあることも事実です。左官工事の職人には、クリエイティブな発想がある方、根気強い方、成長に喜びを感じることができる方などが向いていると言えます。
とてもやりがいのある、まさに職人といったお仕事である左官工事、あなたもプロを目指してみてはいかがですか?

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