防水工事は、建物の屋根や屋上、外壁やバルコニーといった、雨風にさらされる部分に防水処理を施し、雨や雪などが建物内部に侵入するのを防ぐための工事です。梅雨の時期があり、冬には雪が降る日本においては、雨風から建物を守る防水工事は欠かすことができません。
今回は、防水工事の目的と種類について解説します。
防水工事の目的とは
防水工事の大きな目的は、その名前のとおり”水が建物の内部に入り込むのを防ぐ”ことです。
しかし、新築時に防水工事を施していても、経年の劣化により効果が薄れていくことは免れません。定期的に点検とメンテナンスをしながら、漏水を予防していくことが大切です。また、万が一建物に漏水が見つかった場合は、すぐに防水工事をして建物を守る必要があります。そのほかにも、建物に防水工事を施す目的は大きく分けて3つあります。どのような目的があるのか確認しておきましょう。
①建物の強度を保つ
防水工事の目的のひとつは、水が建物の内部に入り込まないようにして、建物の強度を保つということです。漏水は建物全体の耐久性を著しく低下させ、水が建物の内部に入り込むと、木造では建物を支える柱や梁が腐ってしまいます。また、コンクリートは中性化して鉄筋に錆が生じてしまい、そうなってしまうと強度が落ち、どんどん弱くなってしまうのです。定期的なメンテナンスにかかるコストを抑えるためにも、最初にしっかりと防水工事を行っておくことが重要です。
②建物の外観や内観を保つ
木造・コンクリートにかかわらず、雨水は建物内外のさまざまな部分に染みや変色を生じさせ、見た目を損ねます。防水工事を行うことにより、経年劣化を防いで美観を保つことができます。適切な防水工事は、建物の美しさや機能を保ったまま保全する上で、非常に重要な役割を果たしています。
③アレルギーの原因となるカビを防ぐ
目の届かないところで漏水していると、知らず知らずのうちにその周辺でカビが発生し、喘息などのアレルギーを引き起こすこともあります。防水工事は、将来にわたって安心・安全に建物を使い続けるために、欠かせない工事なのです。
施す場所や目的に合わせた防水方法
防水工事は、大きく分けて5種類あります。工事をする場所や目的に合わせて、適切な防水方法を選択します。それでは具体的な方法を見ていきましょう。
①ウレタン防水
ウレタン防水は、防水工事の中で最もスタンダードな方法です。防水層が軽いため建物に負担がかからず、定期的なメンテナンスにより水や雨、雪、紫外線などによる劣化から、長期にわたって施工箇所を守ることができます。複雑な造りの場所であっても、シームレスで美しい見た目を形成できるのもメリットのひとつです。
②アスファルトシート防水
アスファルトシート防水は、一般住宅における平面状の屋根や、ビルやマンションの屋上などで多く採用されている防水工事です。アスファルトに合成繊維不織布を含ませて作った防水シートと下地を熱で密着させるため、耐久性に優れています。ただし、シートを熱して溶かす際、においや煙が生じるので、周辺への影響を抑えながら工事をする必要があります。
③FRP防水
FRPとはFiber Reinforced Plasticsの略称で、繊維強化プラスチックのことです。FRP防水では、ポリエステル樹脂を塗布してからガラスマットを貼りつけ、防水用ポリエステル樹脂を染み込ませて硬化させます。
アスファルトシート防水と同じく、施工ににおいは出るものの、軽量で強靭なのが特徴です。耐酸性があり、酸性雨や紫外線から、建物を長期的に保護することができます。
④塩ビシート防水
塩ビシート防水は、塩化ビニールシートを下地に貼りつけていく防水工事です。耐久性もあり、耐摩耗性もあるので、軽歩行が可能なのがメリットと言えます。既存のシートが傷んだら、そのまま塩ビシートをかぶせて使用することもでき、低コスト・短期間で防水ができる、優れた方法のひとつです。ただし、シートを貼りつけていくため、複雑な形状の下地ではきれいに施工できない場合があり、さらに衝撃に弱いといったデメリットがあることも、知っておく必要があります。
建物を水や紫外線から守る防水工事には、建物の強度を保ちながら、アレルギーの原因となるカビなどを防ぐという役割もあります。工法は、下地の状態や求める効果によってさまざまなので、予算と施工場所に応じて選ぶ必要があります。また、防水工事は、定期的なメンテナンスで状態を維持していくことがとても大切です。雨漏りが確認されてからでは、修繕のコストもかさむため、定期的にチェックをし、水漏れを未然に防ぐ必要があります。
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