建設現場の安全対策ガイド


工事現場では多くの重機が行き交い、さまざまな重量物を取り扱うため、ちょっとした気の緩みから大きな事故に繋がるリスクも高く、毎年多くの事故が発生しています。工事現場で事故を防止するには、日頃の安全対策が必要不可欠です。工事現場の事故防止に努めたいもののどのように安全対策を行えばいいのか、悩む方も多いのではないでしょうか?そこで今回は、工事現場における安全対策や事故を防ぐ方法について解説したいと思います。

工事現場における事故とは

工事現場における事故でも、それぞれ要因や発生状況はさまざまです。ここでは、工事現場における事故の例をご紹介いたします。事故の例を知ることにより、今後同様の事故が発生しないように作業手順の改善やルールの改正など、安全性の見直しが図れます。

①墜落・転落・転倒

工事現場で最も多い死亡事故は、墜落と転落です。実際に、7階建ての建物を塗装している途中に足を踏み外して墜落したり、フォークリフトで持ち上げた作業台が転落したといった事故事例もあります。高所からの墜落や転落はその衝撃があまりにも大きいため、死亡事故が発生するリスクも高まります。また、転倒は死傷者数が最も多い事故です。具体例としては、荷卸作業中にクレーンが転倒し、運転者が負傷するという事故です。転倒事故も、場合によっては死亡事故に繋がる可能性もあります。

②崩壊・倒壊

建設中の建物や足場の崩壊、解体作業中の壁の倒壊といった事故も工事現場で多発しています。崩壊や倒壊は、対象物が不安定な場合に発生するだけではなく、大雨や台風といった自然災害が起因となって発生する場合も少なくありません。実際に、大雨警報が発令される程の降雨があった現場で掘削した法面(のりめん)が崩壊し、作業員が生埋めになった事故もありました。崩壊や倒壊の事故は作業員だけでなく、たまたま近くを歩いていた歩行者をも巻き込む危険性があります。

③飛来・落下

工事現場には、作業で使用する様々な資材が置かれています。その資材が強風に煽られて飛来したり、高所から落下するといった場合にも事故が発生します。クレーンやショベルカーといった建設機材による落下事故も多発しており、例えばドラグショベルと呼ばれる掘削用機械で鉄板を吊り上げている途中に、フックから外れて下敷きとなる事故が発生しました。重量物の飛来や落下は重大事故に直結するため、十分な注意が必要です。

④接触・激突

工事現場での作業には、重量物の移動や持ち上げるクレーン・ブルドーザーなどの重機が欠かせません。その重機が作業員に接触や激突をする事故も頻発しています。具体的には、ドラグショベルが急旋回して吊り荷に打たれるという事故や、ドラグショベルの作動範囲にいた作業者がバケットに激突するなどの事故です。たとえ些細な接触であってもその衝撃は大きいため、重大な事故に繋がります。

⑤挟まれ・巻き込まれ

工事現場では建設機材に作業員が挟まれたり、身体の一部が巻き込まれたりという事故も発生しています。インパクトドライバーの使用中に、手袋をはめた手がドリルに巻き込まれそうになった事例や、突然後退したダンプトラックと柱の間に、作業員が挟まれるといった重大事故もありました。

⑥交通事故

工事現場の事故は、道路上で発生するケースもあります。実際に、道路舗装工事の作業箇所に走行中の車が突っ込み、作業員らを跳ね飛ばす事故が発生しました。建設機材や資材を工事現場に輸送する際、交通事故が発生する可能性も十分にあり得ます。また、工事現場の安全を保つために交通整理を行っていた作業員が、トラックの死角にいたため交通事故に巻き込まれたという例もあります。

工事現場での事故発生を防ぐ方法

命を守るためだけでなく、現場での作業をスムーズに進めるためにも、工事現場での事故は未然に防ぎたいものです。では、具体的にはどのような安全対策を実施すべきなのでしょうか。?工事現場での事故発生を防ぐ方法を6つご紹介いたします。

①作業員の安全意識向上

工事現場で働く作業員の安全意識の低下は、重大な事故に繋がる要因となります。そのため、工事現場での事故発生を防ぐためには、まずは現場で働く作業員の安全意識を高めることが大切です。定期的な安全講習を開催したり、事故事例を共有したりするなど、作業員の安全意識の向上が図れる環境づくりを行いましょう。危険箇所には注意喚起を促すステッカーを貼ったり、危険を見える化することも、作業員の安全意識を向上することができます。

②定期的な機器の点検

工事現場で使用する機器の定期点検も、事故防止に繋がります。定期的に点検をしていない機器を使い続けることにより、故障や誤作動などが発生する恐れがあります。作業員を巻き込む事故へと発展する可能性もあるので、十分な注意が必要です。工事現場で使用する機器は定期的に点検することによって、部品の劣化や故障を早期発見できます。機器の最適な状態を保てると、誤作動のリスクが減って事故防止に繋がります。

③危険予知訓練の実施

事故や災害などを未然に防ぐためには、危険予知訓練の実施も有効的です。危険予知訓練とは、現場や作業工程に潜む危険とその原因を予測し、対策案を考える訓練のことで、危険・予知・訓練(トレーニング)の頭文字を取り、別名「KYT」とも呼ばれています。危険予知訓練においては、まず工事現場にどのような危険要因があるのかを見つけます。そして、危険要因についての対応策を取り決め、作業員全員の共通認識とすることによって、危険回避能力の向上が目指せます。

④気象状況に応じた対策

屋外作業の多い工事現場では、気象状況に応じた対策も必要です。例えば台風や強風の際には、足場が倒壊する危険性が高まりますので、足場の補強や周りに貼ったメッシュシートを畳むなどの事前対策を行うと、被害を最小限に抑えることができます。資材は、強風によって吹き飛ばされる恐れもあるので、立てかけてある資材は寝かせたり、安全な場所に移動させたりするなど、飛散対策を行いましょう。近年では異常気象が頻発しているため、日頃から気象情報を確認する習慣を身につけておきましょう。

⑤高所作業時の対策

労働安全衛生法令では、高さ2メートル以上の場所で行う作業を高所作業とし、その作業場の床の端や開口部などには、原則として手すりや防護柵を設置することが定められています。2022年の1月に労働安全衛生法が改正され、高所作業時には墜落制止用器具の着用が義務化されました。工事現場で多発している墜落や転倒の事故は、高所作業時に多発していることから、作業環境に合わせて手すりを設置したり、墜落制止用器具を着用したりなど、適切な対策を講じましょう。

⑥自然災害対策

地震や津波、火山噴火などの自然災害は、いつどこで発生するのか予測することができません。だからこそ、常に災害には備えておかねばならず、近年では過去最大レベルの南海トラフ地震の発生が予測されており、その切迫性が高まりつつあります。自然災害の発生時に備えて工事現場の安全を常に確保し、被害拡大を防ぐため、建設機材の転倒防止や工事箇所の崩壊防止なども行うようにしましょう。作業員の安全を確保するため、避難場所や避難経路の確保や確認も必要です。


事故の発生リスクが高い工事現場では、いかに安全対策を行うかが重要です。作業員の安全意識向上や定期的な機器の点検などが工事現場の事故防止に繋がり、作業員や歩行者を守るための安全対策グッズも工事現場の事故防止には有効です。以上のことを踏まえて、工事現場における事故を未然に防ぎましょう。
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